あたしブログ

ネットスペースデブリ乙女の脳内ラジオ

シャレマニ個別感想 ケイト√

 

どうも、あたしです。

シャレマニ個別感想第5回目。ようやく折り返し地点に到達しました。

果てしなく長い上に、√を潜る毎に新たな情報が雪崩れ込んでくるからもう、シャレマニ、乙ゲとしてやってるというより、ダンガンロンパ的感覚でプレイしています。

 

今回もダラダラ書きます。ネタバレするので、未プレイの乙女の皆様方はブラウザバック。

 

それでは、気合いを入れていきましょ〜〜〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

獲端ケイト√感想

 

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よお、獲端〜〜〜!(笑)(笑)(笑)

(なぜ笑う?)(苗字で呼びたい)

 

お前は本当にわかりやすくて可愛かったよ。今までで一番何も疑うことがなく安心してクリアできた。

ぶっちゃけ、共通の間はマジで一番嫌いなタイプの前野じゃんと思ってたし常にアウトオブ眼中だったし、1√目の時は一回シメたろうか??と思ってたよ。

でもね、案の定プレイしてみて尚更安心した。予想通りすぎる結末。わかってるのに結局絆されちゃう辛さσ(^_^;)

 

感想としては、

獲端好きなオタク多そ〜〜。

どの乙ゲにもいる典型的なツンデレ枠。獲端の場合、序盤は可愛いツンデレというよりかなりハードめなツンの方。ツンデレ好きじゃなかったら正直かなりしんどい。

宿舎に到着するや否や「お前らと馴れ合うつもりわない😅✋」って感じで完全シャットアウトだし言い方キツイしとりあえずなんかウザいしバチムカつくσ(^_^;)(気が強い乙ゲーマー)

 

で、一番意味わからんのが、 個別入る前の雨宿り回で

 

 

『そういえば、獲端くんは……』

 

『帰還したキャストについてどう思う?私、あれから少し考えてみたんだけど』

 

『もし凝部くんの言うとおり、過去の配信で生還出来たキャストが今回もキャストとして参加してるとしたら』

 

『その人は二度目のキャストってことになるよね。誰もそんなことは言ってなかったから、もしいたら嘘を吐いていたことにはなるけど』

 

『二度目のキャストってだけで、プロデューサーではないことは確実になるし、信頼出来る味方になることに違いはないよね』

 

「……お前は」

 

「あいつの話を信じるのか?なんの根拠もない話なのに」

 

『信じるよ。だって、そんな嘘吐いてどうするの?』

 

「かく乱して楽しんでいるだけかもしれない。他の奴もそうだ」

 

「射落も、廃寺も、お前の大切な幼なじみだって本当は嘘を吐いているかもしれない。そのうちの誰かが裏切り者かもしれない」

 

「この世界は嘘ばかりだ。お前が信じられるものなんて一つもない。信じて裏切られて、傷ついて終わりだ」

 

「……瀬名。嫌なことを教えてやる」

 

『嫌なこと?いいことじゃないんだね。凝部くんはいいことだって言って教えてくれたけど』

 

「俺は凝部とは違うんだよ。……あいつが言っていた『過去の生還者』は、『前回配信の参加者』だ」

 

 

知っています。

 

 

「俺達が参加する一つ前の配信、前回の配信の生還者の数は『九人』。参加者全員が生還している」

 

 

ていうか、前回参加者は全員帰還したってことはPを指名して帰ったってことなんか?

 

 

『なんで』

 

『獲端くんが知っているの』

 

『?』

 

「なんでだろうな」

 

そしてまた空模様を確認し、一度ためらったものの軒下を出る。雨はまだ降り続いているのに。

 

『濡れちゃうよ』

 

一歩踏み出した彼は、雨に降られながら私を見て、言った。

 

「どうして俺が濡れたくないか、分かるか?」

 

『分からない』

 

「……だろうな」

 

獲端くんは邪魔そうに前髪の雨粒を払った後、私に見せつけるように左手を持ち上げた。

 

(そういえば……手袋……)

 

獲端くんは、以前から左手にだけ手袋をしていた。ポケットに突っ込んだり後ろ手に回したり、隠すようにしていることが多い。

 

興味がなさすぎて気付かなかった・・・σ(^_^;)

 

けれど調理の時は仕方なく、手袋の上からさらにビニールの手袋をして作業をしている。

つまり、彼が手袋を外したところは、見たことがない。

けれどその手袋を、私の前でーー外してみせた。

 

 

ウワァオ!!!!!

ますだおかだ

 

 

 

(……っ!?)

 

「…………」

 

「それ……義手?」

 

 

どっかの店で獲端の腕が飾られてたもんなぁ。確か。

 

 

『もしかして、罰ゲームを受けたの?前回の配信で』

 

『元の世界には帰れたけど手は戻って来なかったから、もう一度キャストに?』

 

学校で初めて会った時も左腕をかばうようにしてたもんなぁ。

私の問いには一切答えない。代わりに真っ直ぐなその視線が、すべてを物語っていると感じた。

 

「信用する奴は選べ。でなければこのゲームで真っ先に死ぬのはお前だ」

 

なんなん??????

言ってることとやってることめちゃくちゃでわ???😅✋

あたしはあなたの世界で一番嫌いな「女」なはずなのに、そんなあたしに対して自分のドヤバイ秘密、教えちゃっていいんですか?????どういうことなん??もしかして、バカなんか?????と困惑した。したんだけど、この時点で、

お前を信じよう。そう決めた。

 

恐らく獲端もこの時点で主人公のことが気になっていたし、あまりにも愚直すぎる振る舞いを誰にでも見せるから「こいつは本当に大丈夫なんだろうか?」と心配してくれていたんだなあ・・というのが、ED前でようやくわかります。

 

 

そして、主人公は主人公で忠告だけして帰ろうとした獲端を「5人兄弟の長女」特性で呼び止める。

 

「?何を……」

 

『雨で義手が錆びちゃったら大変じゃない。だから料理の時もビニール手袋してるんでしょ?』

 

「いや、それは」

 

『傘入れてあげるから、一緒に宿舎へ戻ろっか。早くタオルとかで拭いた方がいいよ

 

 

親戚のおばちゃんと同じようなポジションでムーブかましとるやないか。

 

 

「……〜〜っ!錆びない、錆びねぇよ!!なんなんだよお前……」

 

『錆びないの?金属製だし、濡れるの嫌がってたからそういうことかなって』

 

「違う!お前、今の話聞いてたか?」

 

『聞いてたけど、それとこれとは話が違うし』

 

『それに獲端くんが前回参加者なら、獲端くんのことは信じていいってことだよね?』

 

「っーー」

 

獲端くんの返事の代わりに、傘を叩く雨音が響く。

しばらくの間の後、諦めたように獲端くんは声を漏らした。

 

「……勝手にしろ」

 

イエ〜イ相合傘〜(笑)(ダブルピース)

おもろいやないか、このコンビ。

 

 

 

てかさ〜、個別狙う時に図書館行ったら射落さんがいる(前回参照)と思って学校行ったのにそのままタクミくん√入りそうになったの巧妙過ぎるσ(^_^;)焦ったσ(^_^;)

 

 

 

例の罰ゲームが載ってる名簿は今回でも大活躍。最終ページには、

『獲端ケイト 17歳 男性 キャストNO.5 罰ゲーム・左腕』

『陀宰メイ 17宰 男性 キャストNO.9 罰ゲーム・右眼』

 

は!?!??!??

(滝汗)

前回見れなかった最終ページ、見れるようになっとるがな!!ていうか陀宰メイ!!!!!!!プレイする順番間違った???間違ってないよね????またデカい爆弾投下にビビり散らかすワイ将・・・。

でもこれで、陀宰メイも白。残るはもう……。

というか、√潜るごとに細かい部分がちゃんと変化するの面白いね。

 

 

陀宰メイの衝撃で獲端のことどうでもよくなってるんだけど、(おい)主人公がほんとにアホだから、あれだけ邪険にされていても尚とにかく獲端に近づいて絡もうとする。

 

 

「こほん。獲端くん、図書館は居眠りするところではありませんよー?」

 

 

ウザいwwwなんだお前。

 

 

「獲端くん!人を追い出そうとしておいて、眠っているっていうのは失礼にもほどがあると思うんですけど……!」

 

「起きて、獲端くん。図書館は寝るところじゃないよ」

 

「……ん……?」

 

「起きた?あのね、人には文句言っといて自分は居眠りしてるっていうのはーー」

 

「!!」

 

「それ以上、近づくな」

 

ガチギレ

 

「え……」

 

「お前、まだ居たのかよ。勝手に俺に触るな。近づくな」

 

「……起こそうと、思って……」

 

「うぜぇ。二度とやんな」

 

 

俺が悪い。前途&多難。

 

 

一応謝ろうと追いかけるが、タイミング悪く獲端が異世界配信に連れて行かれてしまう。

親友だと思っていた友人が偽物だった的なホラー系のドラマを凝部ソウタと2人で演じることに。

 

『誰もいない学校で、なんで武器を探す必要があるの?いったい誰が襲ってくるっていうのさ』

 

『おかしくない。さっきからどうしたんだ。俺達は親友だろ。俺の言うことを信じろ』

 

『親友かぁ。親友なのに……さっきどうして、僕の兄弟の名前忘れちゃってたの?』

 

『……ど忘れしたんだ』

 

『あんなに何度も一緒に遊んでるのに?それだけじゃないよ。昔僕がキミのことなんて呼んでたか覚えてる?』

 

『…………』

 

『覚えてないよね。さっき呼んだのに、気付きもしなかった』

 

『昔のことをいつまでも引きずるなよ。だから夜が終わらないんだ』

 

『僕のせいだって言いたいの?じゃあ昔の想い出を抱いたまま、ここで僕は死んでいくのかな』

 

『親友の皮をかぶった偽物に殺されて』

 

『…………そうかも知れないな!』

 

『うわ、危な。どっから持って来たの、そのバット?』

 

『殺されたいんだろ。望みどおりにしてやる』

 

「出たね、本性。演じるならもっと上手くなりなよ。キミはいつだって分かりやすい」

 

「……!」

 

「最後まで演じ切れないのに、どうして戻って来たの?バカ真面目なケイちゃん♪」

 

!?!??!!?

 

 

「黙れよ……!」

 

「ほらほら。化けの皮が全部剥がれちゃってるよ〜?」

 

「うるさい!!」

 

何が起きているんだ!?!!

獲端√で色々と明らかになり過ぎ。しんど。

 

獲端√では、かなりの頻度で凝部ソウタとの絡みがあるから、2人の関係性について示唆するような台詞が多い。でもさ、今回で前回配信の参加者が獲端と陀宰メイの2人が確定したわけじゃん?ここで凝部ソウタも確定するか??前回参加者3人って多すぎじゃない???凝部・獲端間では何やら面識がありそうだけど、陀宰間とは面識無さそうだし、このまま凝部ソウタが読み通りのポジションに甘んじるとは思えない。シャレマニってそういうゲーム。

 

 

とりあえず視点を獲端に戻します。(固定しろ)

 

一緒に肝試し回では、

 

「もっと離れて歩けよ。しっしっ」

 

「十分離れてるでしょ!?」

 

「そんなに嫌なら置いて行けばいいのに……」

 

「俺もそうしたいが、それだと組になった意味がないだろ。お前が一人は嫌だっつったんだろーが」

 

「……そうだけど……」

 

 

置いて行かないんだ。。。ふ〜ん?

 

 

暴言を吐いて。意地悪を言って。かと思えば一緒に料理をして、つかず離れずの距離で学校を歩く。

腹立たしいけれど、ひどい人だとは思わない。獲端くんは不思議な人だ。

 

すでにちょっと好き

どういうこと???

 

 

 

お風呂でエンカ回

 

「………………」

 

「あ、獲端くん。お風呂入る?今髪乾かしちゃうからちょっと待ってーー」

 

「…………脱衣所の鍵をしめろ。平然とするな」

 

「ごめん、さっき一度キッチン行ったから開けっぱなしだったね。でも服着てるし、平気でしょ」

 

「っざっけんな!!平気かどうかはこっちが決める!」

 

「とにかく今すぐ鍵をしめろ、俺が出て行ったらすぐだからな、分かったか!?」

 

 

クッソwwwwwwwww

可愛いwwwwwwwwww

 

獲端√ってやっぱそういうこと、なんだよね。恋愛というより、獲端ケイト育成ゲームです。

 

 

 

そして、朝からパンを焼くということで強制的に全員が朝食の席に集められる日常。

それに付き合ってくれる仲間いいヤツらすぎ。

 

 

「……で、瀬名と獲端はなんでケンカしてるんだ?」

 

「さっきから絶対目が合わないように違う方向向いてるよね」

 

「朝食の支度の時からあの調子だったよ。下手すると昨日からかな?」

 

「肝試しでは普通だった気がしたけど……」

 

「昨日の夜、瀬名が鍵掛けないで風呂入ってたから獲端が起こったんだってさ」

 

「えっじゃあケイちゃんお風呂覗いたの!?羨ましい〜」

 

「え!?は!?」

 

「羨ましいって、それはちょっと……」

 

「違います!!獲端くんが脱衣所に来た時はもう服を着てましたっ!!」

 

「なんだ……」

 

「じゃあ別に騒ぐような話じゃないだろ」

 

「ですよねっ」

 

「服を着てたとかそういう問題じゃない!使用中は鍵を掛ける、当然のマナーでしょう!?」

 

「俺が脱衣所に行った時、まだこいつは髪乾かしてる途中だったんですよ!」

 

「髪だけだろ?てか瀬名が気にしてないならいいと思うけどなぁ、俺は」

 

「どう考えても気にしすぎだな」

 

「なるほどねー。まあケイちゃんのことだから脱衣所に女の子がいて焦っちゃったんでしょ。純情くんだからしょうがないよ」

 

「手短に死ね凝部」

 

 

不器用な獲端のために、他のみんながお世話してくれるのも獲端√のポイント。茶化すような会話が目の前で交わされるの、みんな好きでしょ。(好き)

特に、こういう時の凝部ソウタくん、天才。

 

 

 

最後まで食べていた二人が後片付けをする羽目になったわけで、

 

「……はい、これで最後」

 

「チッ」

 

「だから、舌打ちしないでよ。ほんと失礼だよ、それ」

 

「なんでお前に対して礼儀を尽くす必要があるんだ」

 

「あるでしょ普通に。っていうか肝試しの時はわりと普通だなって思ったのになんでまた冷たくなるの?」

 

「お前が悪い」

 

「悪い、じゃ分かんないよ。怒らないで説明してってば」

 

「うるせぇ」

 

「〜〜〜〜っ、もぉお……!!こんな人のために悩んでる自分がバカみたい……!」

 

 

🕵️‍♀️

 

 

「……はぁ?」

 

「…………」

 

「おい。今のは何なんだよ」

 

「……何って、何が?」

 

「何がじゃねぇよ。悩んでるって何が?」

 

「どうでもいいでしょ。獲端くんだって私とまともに会話する気ないんだし」

 

「はぁあ?こっちから訊いてやってんのに何なんだよ」

 

 

お前が一体何なんだよ。

正直こんなことしてられる余裕ないくらいシリアスな状況に置かれているというのに、稀に見る低レベルな言い合いσ(^_^;)ある意味獲端√が一番平和だしちゃんと恋愛してんだよなあ・・。

 

 

 

「今のところはないみたいだけど、そのうち彼女との恋愛ドラマをやらされる可能性もあるでしょ」

 

「この調子じゃ絶対出来ないよね。どうするの?」

 

「…………」

 

「……恋愛ドラマ、やりたくないの?」

 

「やれる訳ないよね。女嫌いな上に、私のことも嫌いみたいだし」

 

「……っせーな」

 

「そうやって性別を理由にしないで、仲間同士協力してドラマをやろうって考えるのはどうかな」

 

「嫌です。裏切り者は見つけるつもりですが、女と協力して見つけるつもりはない」

 

「プロデューサーは見つけるってこと?でもドラマはどうすんの。いつ出演することになるか分からないんだよ」

 

「それは……そうなってから考えます」

 

「はは……きみはいつもみんなに違う視点で切り込んでくるし、論理的な考え方は得意なのだろうけれど」

 

「言動が感情に支配されがちなのが、なんとも可愛らしいよね」

 

 

完封される獲端ケイト。

射落さん√の次にやってるから、色々とギャップがすごい(笑)とりあえず、射落さんを見習え。謝っとけ。

 

 

 

 

「おい」

 

「う……」

 

「……朝は……その」

 

「……?」

 

「…………ひっ、人の顔見て逃げることないだろ!」

 

 

ハァア〜……(クソデカため息)

 

 

「だって……同じ空間にいるだけで嫌がられるかと思って」

 

「別に。そこまでは言わねぇよ」

 

「そう……?」

 

1歩進んで、20歩下がる。

獲端√はそういう感覚で挑んだ方が良い。こうなったら、意地でも絶対にアタイのこと、好きにさせてやる。いいか?”絶対に”だ。

 

 

 

 

図書館での2回目のエンカで、喧嘩以外にも収穫はあって。

名簿の欄外に書かれた文字『保管場所:PALUS SOMNI』。

あそこやん!!!!

最初の!!!!!!!!

思い出せ!!!!!!

 

ああ〜〜繋がっていく〜〜コネクトしていく〜〜。

隣で真剣に本を読んでいた獲端

「『合わせ調味料の基本と保存の仕方』」

「読み上げるなっ!!」

捜査をしろ!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

結構伏線ブッパしてくる割にはそこまでシリアスにならず、基本料理しかせん。

 

 

「俺は炊き込みご飯を作るから、お前は肉じゃがの食材を切れ。じゃがいもとーー」

 

「玉ねぎ、にんじん……後は?」

 

「……しらたきもゆでておいてくれ」

 クッキングママでも始まるんか????

公式グッズとして獲端ケイトの料理本でも出せよ。買うから。(買うから)

 

 

 

 

リビングでのソウタくん回

 

 

「キャー。寝てると思った?」

 

「キャーって、キャーはこっちのセリフなんですけど!?」

 

「お腹触ろうとしたでしょ。エッチ」

 

「隠そうとしたんです!もー、寝たふりしないでよ。っていうか離して!」

 

「せっかくだから一緒に寝ようよ。それともここじゃ狭いから、僕の部屋に行く?」

 

「……怒るよ、ホントに。は・な・し・て」

 

「ええ〜……あ、そうか。こんなことしてたらケイちゃんに怒られるもんね、ごめんごめん」

 

「ケイちゃんって……獲端くん?なんで獲端くんに怒られるの」

 

「だって二人、仲いいじゃない。ケイちゃんがあんな風に言い合いしてるの初めて見たよ」

 

「あれは仲いいって言わないでしょ。いつも怒られてばかりだよ、私」

 

「女嫌いのケイちゃんが女の子と話してるだけで奇跡だと思うけどな〜。一方的に怒鳴るんじゃなく、口喧嘩してるし」

 

「それって仲いい証拠だと思うけど、僕は」

 

 

凝部ソウタ、歩く好感度チェッカー説。

 

 

「そんな気は全然しないけど……」

 

「よし分かった、本人に訊いてみよう。これで万事解決〜☆」

 

「はいメッセージ送信〜」

 

「送信って……もしかして獲端くんに?」

 

「そうだよ。ここに呼んでみた。二人の仲を取り持つキューピッドになってあげようと思って♪」

 

(な、なんてことを……)

 

「仲良く出来るのにこしたことはないけれど、凝部くんは勘違いしてるよ、色々と」

 

「ほら、素直になれない系男子っているじゃない?ケイちゃんは典型的なそれだと思うんだよね」

 

「それは分からなくもないかな」

 

「でしょ?素直な心と愛の言葉を引き出すためにはどうしたらいいか、僕も一緒に考えてあげる」

 

「あぁ〜、やっぱり絶対勘違いしてる」

 

「してないよ。少なくともケイちゃんはキミのこと気になって仕方ないと思うな〜」

 

 

お前、あれだな?ときメモgs2でいう遊くんみたいなやつだな?

 

 

「……思ったんだけど、凝部くん。獲端くんのことよく知ってるんだね?」

 

「んん……まぁね」

 

「同じ学校だし、もしかして知り合いだったりするの?」

 

「いや?こっち来て初めて会ったよ」

 

「それじゃあ、なんでーー」

 

「お前ら……リビングで何やってんだよ、死ね」 

 

 

 いい所で真相に近づけないσ(^_^;)焦れるσ(^_^;)

 

 

 

そして、ついに来た恋愛ドラマ!

ドラマの最後、告白に対する返事のシーン!

 

 

「よくこんなことに本気になれるな」

 

「……え?」

 

「『残念だけど、それは無理』だ。残念なんて微塵も思ってないが」

 

「なんだかんだ言いながら、結局お前も恋愛ごっこを楽しんでんだろ」

 

「お前もどうせ……」

 

「ご、ごっこでもしょうがないでしょ。今はちゃんと返事を聞かせてよ」

 

「断りゃいいんだろ。無理。以上。他に話すことはない」

 

 

冷めた顔のスチル

 

 

「うっ…」

 

『分かった、困らせてごめんね。でも……私、諦めないから』

 

『恋がどんなものか知ってもらえるように、私頑張るから……これからもカズアキくんを好きでいさせてね!』

 

「ホントくだらねぇ……お前もどうせーー……」

 

 

過去に女絡みで何かあったんだろどうせ・・・。

 

 

「好きでもない相手に好きだなんてよく言えるよな。嘘で塗り固めて自分を虚飾して……」

 

「普段からそうやって生きてんだろ?くっだらねぇ」

 

 

おい、お前表出ろ。

 

「頑張って演技したのに……どうしてそこまで言われるの……!?」

 

「あそこで演技を拒否して、私が罰ゲームを受けるところでも見たかったの!?獲端くんは!」

 

「そこまでは言ってないだろ。勝手に曲解して傷ついた顔すんじゃねぇよ」

 

 

歯、食い縛れよ。

 

 

「それだけ言われて傷つかない人間がいたら、それこそおかしいと思うよ……!」

 

「俺の言ってることは全部ドラマだと思えば?演技なら何言われてもいいんだろ、お前は」

 

「な、何言われてもいいなんて言ってないよ!ドラマの中でも、ひどいこと言われたら多少は傷つくし……」

 

「でも恋愛ドラマは出来る。はっ、反吐が出るね」

 

「ドラマでキツい言葉を吐かれれば傷つくのに、好きだと言うのは平気ってか」

 

「どっちも同じドラマ、虚飾の言葉だろ。全部お前が勝手に線を引いて、現実と嘘をごちゃまぜにしてるだけだ」

 

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「……!!それは……それは……っ」

 

「女なんてみんな平気で嘘を吐くし、信用なんてするだけ無駄だ」

 

「どの言葉にも裏があるなら、話なんて聞く方がバカらしい」

 

「なんで女の子がみんなそうだってくくるの?獲端くんはーー今までほんの少しでも誰かを好きになったことなんてないの!?」

 

「ないし、これから先好きになろうとも思わない」

 

はい、獲端ケイト√、これにて終了です。

ありがとうございました。(〜終わらすな〜)

 

 

 

 

 

え〜、続きまして、例の保管場所の店に行く回。

 

「……監視者さん。ここに置いてある腕はいったい何?」

 

『罰ゲームでキャストのみなさんから没収した機能の一部を展示しています』

 

「じゃあ……この腕は、やっぱり獲端くんが罰ゲームで失った腕ってことなんだね?」

 

『はい。これはレプリカですが、返却が完了すれば展示は終了し、DEAD ENDになれば次の配信までに消去されます』

 

「へえ、そういうことか」

 

 

店の奥から射落さん登場

 

 

「やあ瀬名くん、偶然だね。きみにこの店の名前を聞かれた後、ぼくも気になったから来てみたんだけど」

 

「まさかこんな面白い物に出会えるとはねぇ」

 

店員「面白いでしょう?他にもドラマで使われた小道具のレプリカなんかもありますよ!」

 

「そうなのかい?それは誰かに売ったりするの?」

 

店員「もちろんです。異世界配信の視聴者が買って行きますよ!とても興味深い物ばかりですからね」

 

展示しているのはこの腕のみ。陀宰メイの目は???

 

 

話によると、特別な形で保管されているものもあるらしい。

これはメイ√でのお楽しみっていうわけですか???

 

そして、射落さんと一緒に図書館へ名簿を確認しに行ったら、最終ページが閲覧不可能になっていた。

 

 

「親切な誰かが意図的にやったとしか思えない。そう思わないかい、瀬名くん」

 

 

もーーーーやめてよーーーー誰なんだろうってそんなの考えられる人もう少ないよーーーーあーーー怖い怖い、シャレマニ怖い。

 

 

浮かび上がる「なぜ罰ゲームを受けたドラマを二人は再演しないのか?」という謎。

 

(獲端くんは名簿の件がなくても、私に義手を見せてくれた。でも、みんなには何か理由があるから黙ってる。そんな風に思えて仕方がない)

 

(射落さんには言えないけど……私はーー)

 

そしてふと、気付いてしまった。

 

(ああ、そっか。私は)

 

(ただ単に、獲端くんのことを信じたいだけみたい)

 

よくそう思えるな!??!!!!

あれだけキツイことばかり言われて、それでも信じたいって思うのは一体なんでなんだろうね???もうおぢさん、わかってるヨ‼️σ(^_^;)

 

 

 

 

 

 

「おい凝部。魚残すんじゃねぇ」

 

「目ざといなぁ。他の物はだいたい食べたからいいでしょ」

 

「野菜は食べてるな。でもたんぱく質と脂質が足りてない」

 

「しっかり食べないと大きくなんねーぞ凝部。お前細すぎんだよ、全体的に」

 

「げげ。獲端お母さんだけじゃなくて明瀬お父さんまで現れた……」

 

「あんたはエネルギー過多だろ。よくそれで消化しきれるな」

 

「えっ、マジで!?俺普通に食ってるつもりだったんだけどなぁ」

 

「明瀬さんは動き回ってますからね」

 

「……陀宰。なんかお前の煮物おかしくないか?ニンジン入ってないぞ」

 

「……残してはいないだろ……」

 

「ああ、分かった。だから器に盛る時に手伝ってたのか。こっそり避けて盛ったな!?」

 

「気のせいだ」

 

「気のせいじゃねーよ!ニンジンごときのために策を練ってんじゃねぇ!」

 

「お前……そんなこと言っていいのか?バラすぞ、重要な秘密を」

 

「……は……?」

 

(……!)

 

「獲端お前、パクチーが嫌いだからわざと料理には入れないようにしてるだろ。エスニック料理は作るくせに」

 

「……ッ!!」

 

「ああ、なるほど。確かにパクチーが料理に入っているのは見たことがありませんね」

 

「人の好き嫌いには口出しするくせにそんな手段を使ってたんですか……」

 

「えっと、パクチーって何?」

 

「知らなくていい。これからも入れるつもりはないからな」

 

「卑怯だろ、ズルいぞ」

 

「るせぇ!それが調理者に委ねられた権利だ!」

 

 

平和パート多いなー。(棒)

 

そんな獲端の自分以外のメンツとは何だかんだ仲がいい様子を見て、ちょっと羨ましい…と思ってしまう主人公。

 

 

「お姉ちゃん、食べないの?」

 

「あっ。ちょっとぼうっとしてた。食べるよ、食べる食べる」

 

「そう?……瀬名お姉ちゃんは、獲端お兄ちゃんのこと好きなの?最近いつも見てるよね」

 

「え!?ち、違うよ!!!!!」

 

「マジで?瀬名、獲端のこと好きなのか?」

 

「はは。あれだけ罵られて好きとは、瀬名もなかなかの逸材だな」

 

「……は?」

 

「萬城くん。お茶が零れてますよ」

 

「違う!違うからね!!!!廃寺くん、今のは軽率な発言って言うんだよ!?誰が誰を好きとか嫌いとかっていうのは……!」

 

「『ケイソツ』知ってる。この前覚えたよ。えーとつまり、隠しておきたいからみんなの前で言っちゃダメってこと?」

 

 

タクミくん、大好き。

おいたんと結婚しよう。

 

 

「ちがうぅうううう」

 

「お前ら全員うるせぇ。メシ食え」 

 

 

いやほんまにうるせぇんよな(笑) 

推理パートより料理&わちゃわちゃパートの方が圧倒的に多い。きっと獲端√を書いたライターさん、楽しくてしょうがなかったんじゃないかな。

 

 

 

 

「ーー獲端くん?」

 

「寝てんのかと思った」

 

「こんなところで寝ないよ。お風呂上がりに休憩してただけ。あ、お風呂入る時は鍵掛けてたからね」

 

「…………」

 

「……お前、最近」

 

 

獲端の方から話しかけてきた

 

 

「俺の方見過ぎ。気付いてないとでも思ってんのかよ」

 

ウオォwwwwwwwやめろ主人公wwwwww

恥ずかしいwwwwww

 

「……うぇっ!?そ、そう!?」

 

「廃寺も言ってただろうが。あからさまなんだよ」

 

「そっか……ごめん」

 

「違う。理由を訊いてるんだ」

 

「理由……理由は……私も考え中だから分かんない」

 

「自分のことなのに分かんないって何なんだよ」

 

「分かんないんだからしょうがないでしょ。今後は気を付けるから」

 

 

もーーー・・やめて・・恥ずかしい・・この二人恥ずかしい・・・。

 

 

「ったく……風呂上がりにこんなとこで……風邪引くぞ。早く部屋に戻れよ」

 

「はーい。そういうところ、ほんとお母さんだよね獲端くん」

 

「はぁ!?やめろよその例え……!」

 

「悪い意味じゃないってば」

 

「それでも嫌なんだよ!二度と言うな!」

 

「だいたいお前は女のくせにだらしないんだ。この宿舎は男ばかりなんだから、もっと考えろよ!」

 

「ねえその『女のくせに』っていうの、誰かと比べて言ってるの?」

 

「……っ!」

 

 

わかりやすいんだよバーカ・・・。

 

 

「やめて欲しいの。女の子がみんな同じ性格な訳ないでしょ。男の子だってそうだよね?」

 

「二度と言うなって私に言うのなら、私だって言いたいよ」

 

「女のくせになんて言われたくないの。私自身に文句があるなら、ちゃんと『私』に言って」

 

「悲しくなるよ。バカって言われるよりずっと傷つく」

 

「…………」

 

あたしは悪くないぞ!!!!!!!

獲端!!!早く正直になれよ!!!!!!

 

 

 

と、文句を言っていたのに、言われた通りに39度近くの熱を出すご都合主義的展開。

異世界に居ても風邪とか引くんだね。

 

 

「っ!?獲端くん……!?」

 

「寝たままでいい。持っていくから」

 

 

結局看病しに来るんかお前。ずっっっるいなあああお前。

 

 

「卵雑炊と生姜湯。無理して食べる必要はないが」

 

「……と、言うか……なんで私が風邪引いたって知ってるの……?」

 

「萬城と射落さんが体調不良で休んでると。昨日の今日で体調不良とか、一つしか原因は考えられないだろ」

 

「うっ」

 

「いや……二つあるかもしれないが……まあ、どのみち……」

 

「食欲があるなら雑炊食え。朝から何も食べてないだろ」

 

 

〜実家のような安心感〜

 

 

「う、うん……」

 

「えっと、ありがとう……わざわざ作ってきてくれたんだね」

 

「べ、別にお前の為じゃない。あいつらがまともに雑炊も作れないから仕方なくだな」

 

「そうなんだ、でもありがとう。じゃあ冷めないうちにとりあえず一口……」

 

「待ってろ、今取り分けるから」

 

ちょうど土鍋に手を伸ばしたところだったので、取り分けようとした獲端くんと距離が縮まる。

 

「わっ」

 

それに驚いて布団ごと後ずさってしまった。

 

「……なんだよ?取り分けようとしただけだろ」

 

「そ、そうなんだけど。汗いっぱいかいちゃって、お風呂にも入ってないから……!」

 

「なんだ、そんなことか……風邪なんだから仕方ないだろ」

 

 

明日は台風か?

 

 

「はー……言われたとおりに風邪引いちゃったのは恥ずかしいけど、卵雑炊も生姜湯もおいしい……」

 

「恥ずかしいって自覚はあるんだな」

 

「う」

 

「本当に体調を崩したと聞いた時は、バカかと」

 

「はぁい……さすがに今回は何も言い返せない」

 

「…………まあ、その。……部屋……ちゃんと片付けてるんだな」

 

「…………え?部屋?」

 

「部屋くらい普通に片付けるけど。そんなに物がある訳じゃないし……ていうか、ちょっと失礼じゃない?」

 

「そ、そうだな。…………悪い」

 

 

 

会話がド下手なんじゃあ。(心の中のノブ)

 

 

 

「獲端くんの部屋は汚いとか……?あれ、でも掃除は得意だったよね」

 

「俺じゃない。俺じゃなくて……」

 

「姉と妹だ。部屋が汚くてだらしがなくて、風呂上がりに薄着でウロウロするし、家事は一切しないし」

 

 

薄着は別にいいだろ家族なんだから。

 

 

「え」

 

「感情的で、よく怒るしよく泣くし、物に当たるし、立場が悪くならないように嘘を吐いたりもするし……」

 

(……それって、もしかしなくても)

 

「私に言ってた文句と似てるね?」

 

「……ああ……昨日言われるまで、気が付いてなかった」

 

「私、家事はそんなに苦手じゃないよ。やらないってことはないし」

 

「そうだな」

 

「部屋はそこまで汚くないと思うけど」

 

「……そうだな」

 

「あの時は脱衣所の鍵は掛け忘れてたけど、お風呂に入る時はちゃんと掛けてるし……薄着でウロウロ……してた?」

 

「……してない……」

 

「…………ふふふ。なんだ、そういうことだったんだね。あははっ」

 

 

いやまだだ。あたしの中でまだあのドラマの件は終わってないぞ。

 

 

「そこで笑うか……?」

 

「だって、獲端くんがなんで女だからって怒ってばかりなのか気になってたんだもん」

 

「でもお姉さんと妹さんを私に重ねてただけだったんだね?ホッとして笑っちゃった」

 

「…………」

 

「私も弟と妹がいるし、気持ちは分かるよ。クセになっちゃうよね、いつも一緒だから」

 

「『電気を点けっぱなしにしない』とか、『服を脱いでそこら辺に置かない』とか。こっちでもみんなに言いそうになるもの」

 

「俺は……そういう訳じゃない」

 

「そういう?」

 

「お前みたいに、面倒を見てやろうとかそんな気持ちでいる訳じゃないし……嫌だから言ってるだけだ」

 

「…………」

 

「不快だ。目のまでだらしなく振る舞われるとイライラする。お前みたいにーー」

 

「家族に会いたいとは、思わない。同じ空間に女がいる状況が嫌だ」

 

「向こうの世界に戻ったら、また家族や他の女どもに会わなければいけないのかと思うと苦痛だ」

 

(そ、そんなに……!?)

 

「じゃあ獲端くんは元の世界に帰りたくなかったりするの……?」

 

「…………それより、食べ終わったならよこせ。おかわりは?」

 

「あ……ごめん、もうお腹いっぱいかな」

 

「帰りたい、という気持ちはないが……ここに長くいるのは良くない」

 

「ドラマが進めば進むほど内容は過激になっていくし、罰ゲームのリスクも高くなる」

 

「罰ゲームを回避したとしても、ここのドラマに慣れていくというのは……俺は勧めない」

 

「……一応、訊いてもいい?何でそんなこと知ってるの」

 

「チッ、分かってんだろ。……早く治せよ」

 

 

早く治せよ(涙)

お前、それはないだろ・・・あんだけ罵詈雑言浴びせておいて、ちょっと優しくすんじゃねえよ・・・好きになっちまうだろうが。

 

 

 

 

夕食後、ちゃんとお礼を言わなきゃと思いドアの前まで行く。

 

「……?なんだ?」

 

「あっ、えっ、獲端くん、ご、ごめん」

 

「お前か……何だよ?」

 

「え、ええぇとぉ……用があるというか、ないというか……」

 

「はぁ?まあいいや、入れよ」

 

 

これ確実に脈出てきましたよね???女を自室に入れたんですよ???

 

挙動不審のまま獲端くんの部屋に入るが、入ってすぐに気付いた。

 

 

「腕……」

 

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 いつも義手をつけている左手が、ない。

ないと言うのはおかしいが、あるはずの物がないというのが視覚的には不思議だった。

 

「義手の手入れをしてたんだ。この格好で部屋の外には出られないし……タイミング悪いんだよ、お前は」

 

「え、そうだったんだね。ごめん。えっと、昨日のお礼を改めて言いたくて」

 

「別に、言われるほどのことは。夕食を作るついでだ」

 

 

覚えておきな、主人公。

これが、"口実"ってやつ、なんだよ。

 

 

「そう?でも、ありがとう。おかげですぐ治ったよ」

 

「……何か手伝う?」

 

「近い。用もないのに近づくな」

 

「ごめん。義手が気になって」

 

「……ああ……」

 

「じゃあ……頼む。片手だと細かいところまでケア出来なくて」

 

「うん。指示してくれればそのとおりにするから」

 

話しながら軽く義手を持ち上げて、裏側も拭こうと思った時だった。

小さな音がして、義手の一部が外れる。一瞬壊れたのかと驚いたが、そうではないようだった。

 

「あれ?ここ外れるんだね」

 

「え?そんなはずはーー」

 

「ここを押したまま引っ張らないと外れないから、片手じゃ気付かなかったんじゃないかな。でも、この中は掃除しなくても平気そうだけど」

 

「ああ、そうみたいだな……」

 

 

カバーの裏側に監視者さんのマークが

 

 

「ーー獲端くん。カバーの裏にこんなマークがあったんだけど」

 

(知らなかったんだ。このカバーが外れるのも知らなかったなら当然かな……)

 

(でもこの義手に異世界配信のマークがあるのはいったいどういうことなんだろう?)

 

(そういえば罰ゲームを受けた時、奪われるのは機能だけって聞いた気がする。私が声の機能を失った時も、多分そうで……)

 

(そうだ。そうじゃないと、陀宰くんの目が普通に両目揃ってることの説明がつかない)

 

(でもそれなら獲端くんの腕がないのはどうして?機能を失っただけなら、腕そのものがなくなったりはしないはず……)

 

「あいつ……特別に義手を差し上げますなんて言っといて、こんな仕掛けを……」

 

「あいつ……?」

 

「……今回のキャストとしてここに来た時、前回の罰ゲームの影響で俺の腕は動かない状態だった」

 

「でもそれを周りの人間に見られたら、そのうち俺が罰ゲームの経験者であることがバレると思った」

 

「だから、プレ期間のうちに『願い事』をしたんだ。動かない腕を、一時的に義手にしてくれと」

 

 

なるほど…。ここまでは納得。

 

用意されたのは旧式の義手、最新のに変えてくれと頼んだら「そこまでリクエストするならポイントをためろ」と言われた。

 

 

「あれ、でもーー」

 

「……なんだよ?」

 

「罰ゲームを受けても、元の世界へ戻ったら返してもらえるって話じゃなかった?」

 

「それは今回からの話だろ。前回まではそんなルールはなかった」

 

「……ちなみに獲端くんは、『PALUS SOMNI』ってお店のことは知ってる?」

 

「ポール……?なんだそれ」

 

異世界にあるお店の名前。それにこれまでの配信の罰ゲームでキャストから奪われたものが保管されてるの」

 

「……マジかよ」

 

「あ、実際に置いてあるのはレプリカらしいんだけど。でも……獲端くんの腕のレプリカもあったよ」

 

「…………」

 

「……知らなかったんだね。じゃあ名簿のことは?図書館にある預かり名簿のことは知ってる?」

 

「預かり名簿?」

 

 

料理ばっかしてるから知らねえんだよ!!!可愛いけど!!!(だいぶ絆されてきた人)

 

 

「これまでの異世界配信で、罰ゲームを受けた人達と名前が全部載ってるんだよ。それで今の店を知ったの」

 

「図書館に!?じゃあ誰でも見られるじゃねぇか!」

 

「う、うん……」

 

「……はぁ……せっかくここまで隠してきたのに、あちこち穴だらけか……」

 

「ったく、俺がやってきたことは最初から意味なかったってことかよ」

 

「そっちも、知らなかった?」

 

「そりゃそうだろ。知ってたら隠すなりなんなりしてる」

 

 

ということは…破損させたのは……。

 

 

 

「あの、獲端くん。改めて訊きたいんだけど……」

 

「獲端くんは、前回参加者なんだよね。いつも適当に流されるけど、ちゃんと獲端くんの口から訊きたい」

 

「前回の異世界配信に参加し、キャストになるのは今回で二度目。だから色々なことを知っている」

 

「……それで間違いないんだよね?」

 

「そうだ。俺は前回の異世界配信にキャストとして参加し、一度は向こうの世界に帰還した」

 

異世界配信に参加するのは危険だって、誰よりも分かっていたはずだよね。でも、戻ってきたのはーー」

 

「自分の意思でもう一度異世界配信に参加することにしたの?」

 

「……参加は、自分で決めた。向こうの世界でスポンサーを捜し出し、自分をキャストに選ぶよう話をつけた」

 

 

茅ヶ裂さんに?!??

 

 

「さも俺もプロデューサーに感化されスポンサーになったような顔をして。そうすれば、簡単だった」

 

 

獲端、お前そんな器用なことできるの?

 

 

 

「もう一度参加することにしたその理由は、腕を取り戻すため……でいいんだよね?」

 

「だいたい綺麗になったから、これで終わりでいい」

 

「答えないってことは、そのとおりってことでいいの?」

 

「好きに受け取ればいいだろ」

 

「私は獲端くんから答えが聞きたいんだよ。もしそうなら、出来る限り力になりたいから」

 

「……はぁ?」

 

「罰ゲームで失ったものは、再演すれば取り戻せるんだよね?それは前回参加者も同じはずだよね」

 

「今までそのドラマを再演しなかったのは何か理由があるの?もし理由があるなら、私も協力するしーー」

 

「るせぇ。出てけ」

 

「きゅ、急にそれ?協力するって言っただけなのに」

 

「しつこい。もう話すことはない」

 

「一人じゃ出来ないこともあるはずだよ。どんな理由でも、私はーー」

 

「うるせぇっつってんだろ!!」

 

 

壁ドン・・・・・。

 

 

「……っ!」

 

「いい加減にしろ。俺に懐くな」

 

「そういうくだらない追求を避けるために、前回参加者だってことを黙っていたんだ。これ以上ゴチャゴチャ言うんじゃねぇ」

 

「お前はいつもそうやって、誰彼構わず尻尾を振ってついていって」

 

「何度バカと言えば自覚する?能天気はあっちの世界に戻ってからにしろ。こっちの世界では通用しないんだよ」

 

「そ……それは……っ」

 

「少し気に掛けてやっただけで部屋まで来るとか、気ぃ抜きすぎだろ。俺が裏切り者だったらどうする」

 

 

〜ぐう正論〜

 

 

「どんな人間でも、嘘を吐かない人間はいない。表と裏があるんだ。お前みたいな奴は常に騙される側だ」

 

「全員信用するなという意味でお前にこいつを見せてやったのに、勘違いしすぎなんだよ、いつもいつも……!」

 

「でも……!それって、私に忠告してくれてるんだよね?」

 

「誰かに騙されないように、忠告してくれてるんだよね。自分の秘密をバラしてまで」

 

「獲端くんはすぐ怒るし、口も悪いし、態度も悪いし意地悪だけど、そうやって心配してくれるいい人だよ」

 

「そんな人が、騙す側の人だなんて思えないよ……!」

 

「獲端くんのことを疑わなかった訳じゃない。でも話してみて信じてもいいんだって思ったの。信じたい人くらい、私は自分で決められるよ」

 

「もしそれで騙されたのなら、私はそれでも構わない。表も裏もひっくるめてその人だから」

 

「訊かれたくないことを訊いたのならそれは謝るよ、ごめん」

 

「でも、もし獲端くんが私を心配して言ってくれてるなら……」

 

「はぁ!?」

 

「それは要らないって分かって欲しいの!ちゃんと自分で考えて決めたことだから!」

 

「心配なんかしてねぇよ!」

 

「してるでしょ!?滲み出てるよ!心配だって!」

 

「おま……ふざけんなよ!?んな訳ねーだろうが!!」

 

「優しいくせに優しくないフリするのやめなよ!優しいことは恥ずかしいことじゃないよ!」

 

「やさーーお前、ほんと……何言って……!」

 

「獲端くんは優しいでしょ。風邪引いたら看病してくれたし」

 

「私にいつも口うるさく言っていた理由もちゃんと教えてくれたんだから。私はそれ、嬉しかったよ」

 

 

数ある獲端を乗り越えて強くなっていく主人公・・。

 

 

「……!!」

 

(……あれ?)

 

「…………」

 

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ふざけんなよお前wwwwwwww

見える・・・・ここでガラガラと獲端に崩れていく全国の乙女の皆さんの絵が見えます・・・・・。

 

 

「えっと……結局協力するって話で怒ってたの?それともただの照れ隠し?」

 

「照れてねーし」

 

 

照れてねーし。

 

 

「だって耳赤いよ」

 

「知らねぇよ」

 

「理由があるならそう言えばいいのに。怒るんじゃなく、ちゃんと言ってくれれば私だってしつこくしないよ」

 

「お前に話す必要ないだろ」

 

「またそうやって……!」

 

「以上、会話終了。ほら出ていけよ、シッシッ」

 

 

獲端ケイト…………この野郎……......

これがお前の、やり方かアァアアア!

 

 

 

これ以降、圧倒的に恋愛ゲームスタート。

凝部ソウタの仕事も捗ります。

 

 

 

「片付けもケイちゃんと二人でやるの?」

 

「うん、一応……一人でやってもいいけど」

 

「そうなんだ♪仲良くっていいね〜」

 

「仲良くねーよ」

 

 

わざわざキッチンから戻ってまで言いに来んな。

 

 

「仲いいでしょ。もう付き合ってるのかと思った」

 

「お前、そういう話好きすぎだろ。話したければ自分で彼女作れ」

 

「なにそれ嫌がらせ?この世界でまともな人間の男女比みてから言ってよね〜」

 

「女の子が一人と、どちらか分からない人が一人。残りは全員男だよ?彼氏作る方が早いよ」

 

 

BL、開幕。

ここの会話好きだった。

 

 

「好きにすりゃいいだろ。止めねーよ」

 

「冗談キツいって。僕、女の子の方が好きだし。それに、女の子っていい匂いごして抱きしめた時に気持ちいいーー」

 

「っつぅうう……!!『痛い方』で殴るのやめてくんない!?」

 

 

やっぱ知ってんのか凝部ソウタ。

 

 

「俺の前でそういう話すんなっつっただろうが」

 

「そういう話ってどこからどこまでそういう話なのさ。女の子の話に敏感すぎ。逆に好きなんじゃないのってくらい」

 

「はあぁぁ?だからどいつもこいつも、何で俺とコイツをそうやって……」

 

「彼女の話はしてないけど〜?一般の『女の子』の話だよ。この時点で意識しすぎだよね〜」

 

 

潔く諦めろ獲端。お前じゃソウタくんには敵わない。 

 

 

「くっ、てめぇ……!」

 

「だいたい女の子嫌いって言いながら、彼女とは会話出来てるの、自分でも気付いてるんでしょ?」

 

「キミが不器用なのも知ってるけどさ、せっかく仲良くなった子を困らせちゃダメだよ。キミの過去に、彼女は関係ないんだから」

 

「…………」

 

 

σ(^_^;)???

 

 

「お前に言われなくても、ちゃんと考えてる。このチャンスを生かせないならーー」

 

「過去に取り憑かれたまま死ねって思ってる、自分でも」

 

 

ようやく!!ようやくフラグが立ち始めましたよ皆さん!!(歓喜

 

 

 

 

 

射落さんに呼び出される回

 

 

「彼らが罰ゲームを受けて戻って来たのなら、それは大した問題じゃない。それより重要なのは」

 

「『他にも前回参加者がいるかどうか』だ。……きみは獲端くんと凝部くんの関係性を気にしたことはない?」

 

「獲端くんは誰にでもあの調子だが、凝部くんはやけに獲端くんに絡むよね。まるで以前から仲が良かったかのように」

 

「私も……そう思ってました」

 

「しかも凝部くんは異世界の事情に詳しい。監視者は何でも教えてくれるとか、これまでのキャストに生還者がいるとか……」

 

「話を聞く限り、僕は凝部くんこそが前回参加者である可能性が高いと考えていたんだ。これまでは」

 

「……これまでは、ですか」

 

「うん。名簿が見つかったからね。前回参加者の獲端くんと仲がいいのも、前回参加者同士であると考えれば自然だ」

 

「でもそれなら、どうして凝部くんはもう一度異世界配信に参加することにしたんだろう?罰ゲームも受けていないのに」

 

 

トモセ√で「やらなきゃいけないことがある」みたいなこと言ってたなそういえば。

 

 

「…………」

 

「名簿に名前がなかったということは、罰ゲームを受けていないということだ。なのにわざわざ戻って来るなんて妙だよね」

 

 

〜断定すんな〜

 

 

「それはーー」

 

「この世界が好きだから、わざわざ戻って来たんでしょうか?こっちの世界は便利だっていつも言ってるし」

 

「彼は早く帰還したいとは思っていないみたいだね。だから僕も彼を注意して見ていたところがある」

 

「そうなると、一つの可能性が大きくなる」

 

「一つの可能性」

 

「凝部くんが、スポンサーである可能性だよ。この世界を気に入っていて、わざわざもう一度キャストとして戻って来た」

 

 

スポンサーは茅ヶ裂さんですって。

なぜならあたしはマモル√をおわ・・・・・。。

 

 

異世界配信側に近い考えを持っていると思ってもおかしくはないよね。それともう一つ、話は戻るけど」

 

「凝部くんと仲のいい獲端くんの義手に異世界配信のマークが入っていたことが気になる」

 

 「どうして獲端くんの義手だけに印が?他の提供物にはそんな印は見たことがないよ。特別な理由がありそうだとは思わない?」

 

「そうやって疑いを集めるためじゃないでしょうか」

 

「……へえ?」

 

「獲端くんもあの印のことを知らなかったみたいだし、ディレクターにはめられたというような言い方をしていました」

 

「もし獲端くんがあの印に気付かないままみんなの前で義手を見せることになったら、誰かが私と同じように気付いていたはずです」

 

「そうしたら今の射落さんみたいに、獲端くんを疑うようになるはず」

 

「義手自体も、獲端くんは見た目でバレにくい最新式の義手じゃなく、旧式のを提供されたって言ってたし……」

 

「そのくらいの嫌がらせをしても不思議じゃないなって思ってます。……私も」

 

 

異世界配信を、ぶっ潰す!(N○Kをぶっ潰す画像)

 

 

 

「なるほど……獲端くんがそう言っていたんだね」

 

「はい」

 

「彼を信じるということか。……うん、きみの考えは分かった」

 

「ハッキリ言ってしまうと、僕は『前回参加者』を疑う気はない」

 

「けれど凝部くんと、彼と仲のいい獲端くんを疑わしいと思っている。少なくとも二人は手を組んでいるはずだ」

 

「一挙一動を見ていれば分かるはずだ。そして名簿を弄ったのも、彼らじゃないかと思っている」

 

 

凝部ソウタが?????

一番謎なのは、陀宰くんと二人が面識があるように見えない点。

 

 

「どちらかが偽の参加者あるいは異世界配信側の人間であるとも推測出来る」

 

「それもあって、獲端くんと凝部くんに僕は疑いを向けているんだ。裏切り者は二人いるはずだから」

 

「……それでも私は、獲端くんを疑いきれないみたいです」

 

「…………」

 

「獲端くんはドラマが嫌いで、演技も下手だし、勢いで本当のことを私にバラしちゃう人だし」

 

「言ってたことがすべて嘘だなんて、考えられないなぁって思っちゃって……」

 

(全員信用するなって主張する人を一番に信じちゃうなんて)

 

(ほんと獲端くんとは意見が合わない)

 

 

こ〜い〜〜しちゃったんだ〜〜〜🎶(カットイン)

 

 

 

 

 

クッキー回

 

「……クッキー。作り方教えろって言ってただろ」

 

「え。教えてくれるの!?」

 

「教えるとは言ってない。見せるだけだ」

 

 

皿を割り、主人公を抱きとめるスチル

 

 

「もう一枚は別の皿使うとして、とりあえず片付けるか。危ねぇし」

 

「あっ……そ、そうだね……!?」

 

「なんで声裏返ってるんだよ」

 

「…………だって……いつも近寄るなって言うくせに」

 

「はぁ?しょうがねぇだろ、落とせばよかったってことか」

 

「そうじゃなくて……ケガしないで済んだのは感謝してるけど!」

 

「ならピーピー喚くな、うるせぇ。大体、恋愛ドラマはもっと近いだろ」

 

「今はドラマ関係ないでしょ……!私を抱きかかえるなんて台本はなかった訳だし」

 

「抱きかかえてねーよ」

 

「抱きかかえてた!」

 

「かかえてねーって言ってんだろ!」

 

「かかえてたよ!重かったでしょ!?」

 

「かかえてねーから知らねえよ!」

 

そういうの、外でやってください。σ(^_^;)

 

 

 

 

 

 

このタイミングで恋愛ドラマ回

 

 

(恋愛ドラマなんてやりたくない。特に、獲端くんとは)

 

第一話のことを思い出すとつらい。またあんな風に否定され、厳しいことを言われるのだろうか。

 

(演技でも本音でも、獲端くんにあんなことを言われるのは嫌だし)

 

(獲端くんとの会話の一つが……ドラマっていう演技になっちゃうのがいやだ)

 

(いつだって本音でいたい。告白とかそういうシーンだって……キス、だって)

 

(本気でならーー)

 

はたと気付き、慌てて頭を横に振る。

 

 

あーーあーーあーーーもーーーー早く付き合うなりなんなりしてーーーー!

 

 

 

『僕は恋がどんなものか知らないと言ったけど、君が僕に恋をしてくれているなら、君はよく知っているはずだよね』

 

『……うん』

 

『じゃあ僕にーー』

 

『僕に教えてくれないかな。恋がどういうものなのか。こっちに来て、もっと近くで』(クソ棒)

 

『君はどうして僕を好きになったの。ペンを拾ったから?優しいから?』

 

『理由なんて、たくさんありすぎて全部は言えないよ。でも私、カズアキくんの笑顔が一番好き』

 

『今まで出会った人の誰よりも』

 

『そう。僕もエイミの笑顔が好きだよ。真っ直ぐで……素直で。嫌なことを忘れさせてくれる』

 

 

ちゃんと読むんだ。。。。

 

 

『カズアキくん』

 

カズアキは、エイミを軽く抱き寄せる。そんなト書きが視界に入った。

けれど獲端くんは一歩も動かず、忌々しげに唇を噛む。

 

「……っ」

 

(やっぱり、やりたくないんだよね。それは分かってる)

 

でもここで演技を拒否してしまえば、罰ゲームを受けることになってしまう。

前回の異世界配信に参加し、罰ゲームで腕を失った獲端くん。

その腕を取り戻すためにここにやってきた、その理由も私は知らないけれど。

 

(でも、このままじゃきっと腕は取り戻せないよ)

 

(私だって演技でキスしたり、恋愛してるフリなんてしたくないけど)

 

(でもーー)

 

手を伸ばし、獲端くんの制服をつかみーー

自分から抱きつく。

 

「ーーっ!!」

 

「……演技じゃないなら、いいでしょ」

 

ふぉああああああああwwwwww

今年度流行語大賞、「演技じゃないなら、いいでしょ」。

 

 

「私は獲端くんに抱きつくのは嫌じゃないから。だから、これならいいよね」

 

「獲端くん、セリフ……!」

 

『こうしていると君の気持ちが伝わってくる。恋はよく分からないけど、君と一緒にいるのは悪くないねーー……』(クソ棒)

 

 

視界が変わり、元のリビングに戻る。

 

 

(ーーど)

 

(どうするのこれ……!?)

 

 

あたしが聞きたい。

 

 

「皿片付けてくる」

 

「う、うん」

 

(ふ、普通だ……!!いつもみたいに文句言われる方がまだいいんですけど……!?)

 

「お姉ちゃん、ドラマお疲れさま」

 

「廃寺くん……うん、疲れた……」

 

「?なんでそんなに照れてるの?」

 

「アクションドラマを演じたくらいの精神的疲労があって……」

 

「そうなの?なんで?」

 

「おや、僕より先に弄りに来た子がいる」

 

「あの……今すごく疲れてるので、弄らないでもらえると……」

 

「なんで?あのドラマそんなに大変だった?精神的疲労ってなに?」

 

「容赦のない追撃だね。まだ顔の赤い瀬名くんを見れば分かるだろ?」

 

「うっ……」

 

「そう言われると、赤いかも。なんで?恥ずかしかった?」

 

「それはそうだよ……人前で抱きつくとか、恥ずかしいでしょ……」

 

「でもハグくらいは誰でもするでしょ?家族でも、友達でも、恋人でも」

 

「異性の知人とはそんなにしないでしょ。誤解されちゃうし、色々と」

 

「誤解?どういう?」

 

「そっ、それは……」

 

「あっはっは。これはさすがに可哀想だ。廃寺くん、人によって基準は違うけど、異性に抱きつく時は注意が必要なんだよ」

 

「それなりの好意がないと普通はしないものだからね。だから今のドラマのように抱きつく場合は」

 

「私はあなたのことが好きですよと言っているようなものだ。その点覚えておこうね」

 

(ああああ)

 

(射落さんはあれが演技だと思ってるからそう言えるんだろうけど……!)

 

「ふーん。じゃあボクがこうやって抱きつくのはお姉ちゃんに告白してるのと同じ?」

 

「そうは思わないけど、離れて欲しいな……」

 

「思わないの?なんで?」

 

「それは普段の行いだね。廃寺くんはボディタッチが多いからなぁ」

 

「……難しい。フクザツなんだね」

 

「仰るとおり、人の心ほど複雑怪奇なものはない」

 

「…………何やってんだ」

 

「ほらほら、離れないとカズアキくんが怒るの。廃寺くんは嫉妬ってものも学ばないと」

 

「シット?シットって何?」

 

「何が嫉妬ですか……役名で呼ぶのもやめてください、不愉快です」

 

「廃寺くん、愛の反対は妬み……つまり嫉妬だと言う人もいるんだよ。そのくらい自然に存在しているものだ」

 

「どちらもとても人間らしく、その感情あってこその人間だと言えるかもしれないね」

 

「ふんふん」

 

「無視ですか」

 

「愛あればこそ失いたくないと、想い人に近づく人間を排除する。それも嫉妬の一つの形だね」

 

「そうなんだ。なんだか大変そうだね」

 

「でもだからこそ、想いが成就すると嬉しいものなんだよ。その時が来るのが楽しみだね、廃寺くん」

 

「うん。恋って一番フクザツで面白い。ボクも恋人とか、好きな人とか欲しい。お姉ちゃんなってくれない?」

 

「え。私……!?」

 

「恋愛が成立するのは、多くの場合イセイが相手だって聞いたよ。ボクは男の子だから、女の子相手がいいよね?」

 

「射落さんはどっちなのか教えてくれないし。だからお姉ちゃんーー」

 

「何言ってんだ、小学生が」

 

「え〜。小学生でも付き合ってる子はいるよ」

 

「ばっ……ませてんじゃねぇ!お前にははえーよ!」

 

「じゃあ獲端お兄ちゃんは早くないの?好きな人いる?」

 

「……!!」

 

「よし、頑張れ廃寺くんもう一押しだ」

 

 

調理班、サイコーー☆

 

 

ここから怒涛のラブ展開、始まります。

 

 

 

 

今度は獲端が体調を崩し、射落さん後押しの元お粥を持って看病へ。

 

メガネをかけたまま寝てるから、取ろうとしたら超音速の勢いで払いのけられる。

怯えた顔にショックを受ける主人公。

 

 

「…………」

 

「お粥がそこに置いてあるから。じゃあ、私ーー」

 

「ーーいや、違う」

 

「?違う……?」

 

「違うんだ。今のは……」

 

「えーと……大丈夫だよ?今のはどう考えても私が悪いし。前も怒られたのに二度もやるなんて、ほんとに」

 

「違う!待ってくれ」

 

「……え……」

 

獲端くんの手が、私の手をつかむ。その表情は狼狽というより焦燥で、真っ直ぐな視線が迷わずこちらを見ていた。

 

「あの……私、こんなことで獲端くんの見方を変えたりしないよ。女嫌いって分かってるし」

 

「獲端くんのこと信じてるから。だから、気にしないで」

 

「……信じてるって……何をだよ?」

 

「え?全部をだけど」

 

ホァっ

 

「全部?本当に全部か?」  

 

「……全部だよ。何度信じるなって言われても、変わらないからね。何度も言うけど」

 

「…………」

 

「お前はいつも、俺の思ったことを先回りするからムカつく」

 

「む、ムカつくって……」

 

「今のは……逆だろ。信じてるというべきなのは、俺だ。手を払ったのは、違う」

 

「お前の手を払いたかった訳じゃない。お前に触れられるのが嫌だった訳じゃない。多分俺は、お前を信じてる」

 

 

ホァタアアアアアアアアアア!!

 

 

「…………多分?」

 

「そこはスルーしろよ。仕方ないだろ、自信がない。本当にお前は……」

 

「口喧嘩すれば延々言い返してくるし、食事の時は同じ料理に手を伸ばすし……」

 

「誰のことも信じるなと言っても、容易く信じてしまうしーー本当にムカつく。自分を見ているようで」

 

「自分、って」

 

「お前が俺を信じようとするから、俺までお前を信じたくなる。それが一番……腹が立つ」

 

「…………」

 

言葉としては恨み言なのに、獲端くんの手は私を離さない。

その手こそが、何より雄弁だった。

 

「……寝てる間にメガネに触ったこと、怒ってないって話でいいのかな?」

 

「怒ってない。お前は、他の奴らとは違うと信じてるから、怒ってない。そう言いたかった……多分がつくが」

 

「そっかぁ……良かった……」

 

「…………」

 

「あ、具合悪い時にごめんね。そう言ってくれるだけで十分だから、ゆっくり休んで。必要な物があれば言ってね」

 

「……粥、作って来てくれたのか」

 

「それは射落さんが作ったの。次は私が作ってくるよ、看病してくれた時のお礼を込めて」

 

「じゃあ私はこれで。薬ちゃんと飲んで寝てね!」

 

「あ……」

 

「?何か必要な物あった?」

 

「……違う。そうじゃなくて、必要なのは物じゃなくて……くそ!」

 

 

もう一度言います。これは、獲端ケイト育成ゲームです。

 

 

 

「ーーちょっと、話を聞いてくれないか?話したいことがあるから」

 

「うん。もちろん、いいよ」

 

「なんで俺が女を嫌いか、話す」

 

「……!」

 

「昨日も話したが、俺の両親は中学一年で離婚したんだ」

 

「母親と姉と妹は離ればなれになったし、そこからは親父と二人暮らしだった。高校に上がるまでは」

 

「……うん」

 

「中学三年になったころ、親父に恋人が出来た。その女はよく家に遊びに来て、俺の前でも平気で親父に絡んだ」

 

「それだけでも気持ち悪かったが……もっと最悪だったのが」

 

「俺にまでベタベタ絡んできて、冗談半分で迫ってきた。それでーー……」

 

「不意を突いて、キスまでされたから……ブチ切れて家出した」

 

(……キス……)

 

ファーストキス貰いたかったのに……(違う)

 

 

「……それまでは不愉快だったものの、一応親父の選んだ恋人だったし、信じてたのに」

 

「裏切られてめちゃくちゃ腹が立った。そいつにも、親父にも……自分にも」

 

「…………」

 

「俺は、その女のことを今も許してない。次会ったらぶん殴りかねないし、二度と会いたくない」

 

「お前みたいに……割り切ることも出来そうにない」

 

「……割り切ってるのかな。分かんないよ。あのドラマを思い出すとモヤモヤするし」

 

「じゃあ……一緒ってことで……まあこの話が終わったらお前も忘れてくれ……」

 

「女嫌いの理由は、以上。だから女に近寄られるのは嫌だし、恋だの何だの言い出す女も見たくない」

 

「だからさっき目が覚めた瞬間……誰か近くにいると思ったら、身体が勝手に動いた」

 

 

もしかして、寝ている時にキスされたのかな?

 

 

「……そっか。私に小言を言う獲端くんは、お姉さんと妹さんに小言を言う獲端くんで」

 

「私に近寄るな触るなって言う獲端くんは……その女の人を嫌っている、獲端くんだったんだね」

 

「……そう、なんだろうな」

 

獲端くんは、先ほど私が外した眼鏡を今度は自分の手で外しベッドサイドに置く。

そのまま彼の手は熱に浮かされたような曖昧な手つきで、私をつかんだ。もう一度。

 

このスチルヤバ。

 

 

「私はその女の人とは違うよ。獲端くんのお姉さんとも妹さんとも」

 

「分かってる」

 

「無理矢理キスなんかしないよ。自分がされて、理由があったとしても同じ気持ちじゃないとって思うよ」

 

「……分かってる。お前は違うって、分かってる」

 

「話したくないこと、話してくれてありがとう」

 

「そうだな、話したくなかったーーでも話さないといけないと思った」

 

「俺は何度もお前に信じるなと言ったし、傷ついても構わないと何度も冷たい言葉を吐いた」

 

「それでもお前は、俺を信じたし……こうやって俺の話を聞いてくれた」

 

「瀬名。俺はお前を信じる。俺がいつまでも過去にこだわっていたせいで、お前を傷つけた」

 

「……悪かった……もうあいつらとお前を比べたりしない……」

 

 

 

紀元前から令和元年に飛んだくらいの進歩。

 

 

 

優しく囁かれると、泣きそうになる。

 

(ずっと普通に話したいと思ってた)

 

(私を女としてじゃなく、私自身を見て欲しいって思ってた)

 

(でも今は……その話を聞いたら、そんなに簡単には言えなくて)

 

(たくさんの覚悟と、勇気のおかげで今私は獲端くんと手を繋げてるんだってことが分かる)

 

「ーー嬉しいけど、嬉しいけど」

 

「けど……?」

 

「……つらい……無理しなくても、良かったんだよ」

 

「誰にだって事情はあるのに、いつも私の意見ばかり押し付けてごめんね」

 

「……黙っておく方が無理だ。お前を引き留めたいなら」

 

 

!?!??!(ガタッ)

 

 

「お前に、触れるなら…………謝って、おかないと……」

 

「もう二度と、振り払ったりはしないからーー」

 

「…………」

 

 

寝んなバカーーーーーー!💢💢泣

 

 

(恋ってどんなものか、私も知らなかったけど)

 

(今は分かる気がするよ。このまま獲端くんをずっと信じていたい。獲端くんを大切に想い続けていたい)

 

(また獲端くんの笑顔が見たい。……獲端くんにキスをしたその人が、妬ましい)

 

(他の人とキスをしてるところなんて、想像もしたくないし……見たくない)

 

(それは私自身も、同じで)

 

「もう恋愛ドラマはしたくない……獲端くん以外とは、キスしたくないよ」

 

「獲端くんのことが……好き」

 

起きてろよ

絶対起きてろ

起きてろよ

 

起きてなかったら

許さんからな

 

獲端へ、心の俳句。

 

 

 

 

 

 

これ以降は最終勝負へ繋がります。

 

 

 

リビングに降りると異様な雰囲気。

 

「獲端。なんで前回参加者だってこと、ずっと黙っていたんだ?」

 

「……!!」

 

「ごめんね、瀬名くん。ちゃんとしたことが分かるまでは黙っていようと思っていたんだけれど」

 

「たまたまアンティークショップで廃寺くんとはち合わせてね。その時、喋っちゃったんだ」

 

「それで、それを聞いた廃寺くんが……」

 

「ボクだけが知らなかったのかと思って、情報収集班の前で言っちゃった」

 

というわけで全員に知れ渡り、急遽話し合うことに。

 

 

「知っていたのは瀬名と射落さんだけか?二人が裏付けを取ってから話すつもりだったっていうなら、黙っていた理由は分かるんだが」

 

「獲端がそのことを言わずに、今まで嘘を吐いていた理由はなんだ?前回参加者なら色々知ってるんだろ?」

 

「…………」

 

「罰ゲームで左手を失っているんですよね?それなら罰ゲームのことは事前に知っていたはずでは」

 

「ドラマが始まる前に、俺達に忠告しておくことも可能だったのに、なぜしなかったんですか?」

 

「キミは彼女に罰ゲームを受けさせたくなかっただけでしょ〜。もう過ぎたことなのにさ☆」

 

「過ぎたことではありますが、理由は知っておきたいです」

 

「誰にでも話したくないことはありますから……きっと彼にも何か事情があったんでしょう」

 

「そうだね、何も獲端くんを裏切り者だと言っている訳じゃない」

 

「ただ、前回参加者であるという情報は共有しておきたかったところだよね」

 

(……射落さん……)

 

(もしかして、わざと廃寺くんに話したとか……?)

 

「あーだこーだうるせぇな。こんな風に追求されるのが嫌で、黙っていたんだ」

 

「追求されるのが嫌って……それはないだろ?一歩間違えれば死ぬかもしれないんだぞ?もっと協力的になってくれてもいいだろ」

 

「必要があればする気ではあった。必要と思う場面が特になかっただけだ」

 

「ちょっと待て、必要はあっただろ。声を失った時、瀬名はもう少しでDEAD ENDってところだったんだぞ!?」

 

「あの、私は……もう声は戻ったし、気にしてません」

 

「気にしないで済む問題か?こいつの情報があれば、俺達ももっと早く帰れたかもしれないのに」

 

「うっせぇな。他人のことなんて知ったことじゃない。帰りたければ自分で何とかしろ」

 

(またそんな言い方をして、みんなの不信感を煽るんだから)

 

(でも、獲端くんがそういう風に冷たい言い方をする時は、いつも何か理由がーー)

 

「まあまあ、そう怒らなくてもいい。僕も僕なりに考えてみたんだけどね。きみが黙っていた理由というものを」

 

「まずきみは、生死を賭けるこの異世界配信にわざわざ二度参加しているのだけれど、その目的は奪われた腕を取り返すため、だよね」

 

「…………」

 

「だとしたら大きな疑問がある。どうしてきみはすぐにでも腕を取り返すためのドラマを再演しなかったんだ?」

 

「このまま黙っていれば、だれかがポイントをためきって帰還してしまう可能性もあったよね」

 

「その前に腕を取り返さなければ、二度目のキャストになった意味はないのでは?これについては説明が欲しいな」

 

「再演をしないのは……やりたくないから」

 

「……やりたくない?」

 

「やりたくないって。子供みたいじゃん。じゃあなんでこの世界に戻って来たの?戻って来る意味ないでしょ〜」

 

「…………」

 

「えーすっごい睨まれたー」

 

「凝部くんの言い分はもっともだと思うけどね。再演したくないというなら、どうしてまたキャストになったの?」

 

「やはりそれは……別に理由があるからじゃなくて?」

 

「違う。他の理由なんかない。迷った……迷いながらここに来た。どちらにしても後悔を抱えることになるなら」

 

「とにかくこっちに来てから考えようと思った。そのうち割り切って考えられるようになるかもしれないし……」

 

「割り切って……考えられるようになった?」

「いや。考えれば考えるほど再演なんてごめんだし」

 

「自分の気持ちに素直になればなるほど、やらない理由ばかりがどんどん増えて……二度と、やりたくないと思った」

 

「そんなに拒否したいほどの内容か。それはいったいどんな?」

 

「……言えない」

 

「イヤな内容なんだろうし、話したくないってのは分かるけどさ、言わないと対策も何も出来ないだろ?」

 

「そうだ。一人で解決出来ない問題も、全員で取りかかれば何とかなるかもしれないと思わないか?」

 

「言いたくないんです。放っておいてください」

 

「それを隠せば隠すほどきみが不振に見えてくるのだけれど、それについては放置でいいのかい?」

 

「構いません。だから言ってるんです、俺は最初からあんたら全員の敵だ」

 

「ーーじゃあ、瀬名くんも?」

 

「……瀬名は……」

 

「…………」

 

「……らちが明かないな。ここまで来てなぜ隠す?」

 

「話しちゃえばいーのに。頑固だよね、ケイちゃんは」

 

「まるで理由を知ってるような言い方だな。凝部は把握していることなのか?」

 

「え〜?僕?僕の話はどうでもよくない?」

 

「みなさん、楽しい話をしていらっしゃるようですね。ぜひとも我々と視聴者も混ぜてください」

 

Dの登場

 

 

「混ぜるって……何言ってるんだか、事の元凶が」

 

「前回の異世界配信に参加し、無事生還したにも関わらず再度異世界配信に参加した獲端ケイトさん」

 

「こちらでもてっきり、即座に腕を取り戻し帰還されるのかと思っておりました。けれど違った」

 

「あなたと行動と発言は、非常に興味深かったです。我々には理解出来ない感情で溢れていた」

 

「……うっせぇ」

 

「それそのものが、まるでドラマのようですね。これこそが我々が知りたかった『真実の一つ』だと気付かされましたよ」

 

「ですのでーー」

 

「真実……?」

 

 

 

獲端の姿が消えた

 

 

 

 

「特別に、こちらで再演の機会をご用意しました。もちろん今から配信も開始します。みなさん存分にお楽しみください!」

 

「ふざけんなよ……趣味悪すぎだろ……」

 

「二度キャストになっていただいた訳ですから、我々もあなたには感謝しております。ですので今回はしっかりサポートいたしますよ」

 

「これから始まるドラマにつきまして、ご褒美を二つ用意しております。よくお聞きください」

 

「一つ。今回のドラマを無事演じきれば、あなたの腕をお返しいたしましょう。そしてもう一つ」

 

「ドラマ終了後には、あなたを元の世界に帰して差し上げます。特別ですよ、良かったですね」

 

「……!」

 

「あなたはドラマを心底嫌っているようですからね。腕を取り戻した以上続ける意味もないでしょう」

 

「いかがですか。素晴らしいご褒美でしょう。ドラマを演じきる自信が湧いてきたのでは?」

 

「……それでも、出来ないと言ったら?」

 

「まさかそんな。あなたは今期のキャストとして、二回恋愛ドラマを演じましたよね」

 

「なのに『この恋愛ドラマ』は出来ない?それはなぜでしょう。内容ですか?キャストですか?それとも」

 

「キスシーンの有無でしょうかね?」

 

「……っ!!」

 

 

そんなに嫌か!!!!!

 

ここでも『キスを強いられた』獲端。周りが思っているよりもトラウマは大きそうだ。

 

 

「分かっててやらせて、今度はどういうつもりだ?罰ゲームでもう一本の腕でも持ってく気か」

 

「とんでもございません。あなたがどんな葛藤を抱え、選択をされるのか、それを配信させていただきたいだけです」

 

「そのために、しっかりサポートするとも申し上げました」

 

 

ドラマの教室の中に一人の女性の立体映像が現れる。

 

 

「なっ……!?」

 

「もちろん覚えていらっしゃいますよね。前回あなたが拒否したドラマの、相手役の女性です」

 

「もちろん彼女は無事に帰還しましたから、こちらはただの立体映像になります。ただの映像です、本人ではありませんよ」

 

「ただし、前回の動画を使用しているので、前回と同じ動作をいたします」

 

「立体映像ですから、気遣いは必要ありません。必要なのはあなたの覚悟一つだけです」

 

「ーーさあ、お膳立ては整いました。せっかく戻って来たのですからね。過去は乗り越えましょう!」

 

「しかし、逆に乗り越えられなかった場合は……元の世界に変える必要などありませんよね」

 

「……は?」

 

「過去を振り切れず、しがらみに囚われて。本当はあなたも逃げたい気持ちがあるのでしょう」

 

「それならばどうぞ逃げ続け、この異世界でお過ごしください。それに相応しい場所ですよ、この異世界は!」

 

「ーーこのドラマが出来ないなら、ずっとここにいろと?」

 

「ここまでサポートしているのですから、良い結果を期待しています」

 

「はぁ……期待していますじゃねぇよ……」

 

「さあ、始めましょうか。舞台は学校、相手はあなたの大切な恋人です。ですが彼女の心はあなたから離れつつある」

 

「さあ彼女を振り向かせ、愛を込めたキスシーンをどうぞ」

 

「恋愛がどういうものか、視聴者に教えてあげてくださいね!」

 

「……ほんっとに、マジで……バカじゃねぇの……」

 

「込められる訳ねぇだろ、愛なんか……」

 

 

恋愛ドラマ強制スタート

 

 

『ねえ、ツヅミ。私との約束が守れないならもういいよ』

 

『これまで何度も我慢してきたけど、限界なの。ツヅミのこと、信じられそうにない』

 

『本当は私のことなんて好きじゃないんでしょ?すぐ怒るし会ってもくれないし、話しても冷たい言い方ばっかり』

 

『……もう分かれよ。私のこと、別に好きじゃないんでしょ』

 

「…………」

 

 

黙り込んだまま

 

 

「さあ、演技をどうぞ。大丈夫です、今回は時間制限はありませんよ。あなたの覚悟が決まるまでお待ちします」

 

「素晴らしい愛の言葉とともに、感動のドラマをお願いします!」

 

「……違う。覚悟を決めれば決めるほど、そんな演技は出来ない」

 

「俺が弱いから、割り切れないんだと思っていた。今まではそう思ってた……」

「でも、両腕取られたって曲げたくないことくらいある」

 

「俺は恋愛ドラマはやらないし、やりたくないい。キスする相手ぐらい自分で決める」

 

「俺が触れたいと思う女は一人しかいないしーー俺の相手はお前じゃねぇよ」

 

 

マジか

 

 

「ーーでは、演技を拒否するのですか?考える時間はありますよ」

 

「考えたって同じだ」

 

たった一つのキスでも、獲端くんの中ではきっと大きな意味を持つ。

 

「私が行きます」

 

 

あたし、行きま〜す!

〜飛び入り参加〜

 

 

 

「はぁ……!?なんで来たんだよ!」

 

「あなたは、ツヅミくんの……ううん、獲端くんの好きなものを知ってる?」

 

「茶碗蒸しが好きなの、私は知ってるよ。それから本人はハッキリとは言わなかったけど、犬も大好きみたい」

 

 

立体投影相手にマウント取り始めた

 

 

「犬の話になると、つい笑顔になっちゃうくらい。でもその笑顔がすごく可愛くて」

 

「……!」

 

「……獲端くんが冷たく思えるなら、それは本当のことをまだ知らないだけだよ」

 

「すぐ怒るしひどい言い方ばかりするけど、冷たい人じゃない。照れ隠しで意地悪言ったりもするけど」

 

「本当はすごく優しいよ。それを知ってる人に恋人になって欲しいし……キスして欲しい」

 

「だから、横入りになっちゃうけど……黙って見ていられなかった」

 

(こんなやり方でいいのか、こんな言葉でいいのか、分からないけど)

 

(黙って見ているよりはーー)

 

「どうしても誰かを選ばなきゃいけないなら、私のことも選択肢に入れて欲しい」

 

「選択肢にも入ってないなんて、悔しいし。名前も知らない誰かに負けるくらいなら、ちゃんと勝負して負けたい」

 

「私はちゃんと獲端くんのことを見てるし、いいところもちゃんと知ってる」

 

「演技じゃなく……本気で好きって言えるから!だから、私をーー」 

 

迷わず飛び込んできたはずなのに、急に心細くなる。

ーー拒否されたらどうしよう。

過去のトラウマを忘れられないと言われたらどうしよう。

いつかのドラマみたいに、引きつった顔で断られたらどうしよう。

そう考えると泣きそうになる。

出来る限り獲端くんを助けたいし、このまま黙って見ていられないと思った。それだけだったのに。

 

「私を……選んでください……!」

 

今はただ、獲端くんに選んで欲しくて仕方がない。

 

(自分勝手で、嫉妬に塗れて)

 

(口に出すのも恥ずかしいけど……これが好きってことなんだ)

 

 

お前、チューされたくて出てきただけなんか!?!?!!

 

 

「バカだなお前」

 

目を開くと、それが獲端くんの指先だと分かった。

 

「……え……?」

 

「もう恋愛ドラマはしたくないって言っただろ。なのにわざわざ来やがって」

 

「………えっ!?き、聞いてたの……?寝てたはずじゃ」

 

「残念だったな。聞こえてた」

 

 

スタンディングオベーション

 

 

「……!!」

 

「わ、分かってたんだね……もぉお……」

 

「怒るなよ。だからお前に聞こえるように言ったんだ」

 

「俺も恋愛ドラマはやらない。演技だろうが何だろうが……触れたい相手は、一人だけだ」

 

 

「…………」

 

何度も叱られ、罵倒され、近寄れば離れていった獲端くんはそこにはいない。

優しく私を引き寄せて、目を細める獲端くんは。

 

「ーー……選んだぞ」

 

ためらわずに私に触れ、選んでくれた。

 

クソッwwwwwwwwwwww

なんやこれwwwwwwwwwww

 

わかってた、、最後どうなるかくらいわかってたのに、、、負けた、、、、クソ、、、、、チューした瞬間の画面越しに映った自分の顔がやばかった、、、、wwwwwww

悔しい、、、ひたすら悔しい、、、獲端のこと落とすはずが自分も落とされたのほんと悔しい、、、、無理、、、、、、。

こんなテンプレ展開でも最高にキュンキュンした。乙ゲにおいて、「分かりやすさ」もときめきには必要なのかもしれない。獲端のこと興味なかったオタクもきっとラストのこの瞬間で何もかもが許せる。報われた気持ちになる。ハア・・・。

盛大に周りを巻き込んでの告白、お疲れさま!!!!!

 

 

「素晴らしいドラマでしたね!お疲れ様でした!」

 

 

いつの間にか景色が変わっていた

 

 

「ってことは……ドラマを終えたことになってんのか?」

 

「もちろんです。過去を乗り越え、キスシーンを演じ、恋の何たるかを見せていただきましたからね」

 

「約束どおりご褒美を差し上げましょう。まずは、あなたの腕を」

 

「獲端くん、手が……!」

 

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 「では次に、あなたの帰還ですが」

 

「約束どおり帰して差し上げましょう。と言いたいところですがーー」

 

「……はっ。やっぱりデタラメか。そんなことだろうと思ったぜ」

 

「いえ。帰還するのはお一人でよろしいのですか?」

 

「……は?」

 

は?

獲端√のD、やたら物分かりがいいんだが。

 

 

「愛し合う恋人同士はいつも一緒に。そう教えていただきましたからね。帰還するならば二人一緒がよろしいのでは?」

 

「それは……頼めば瀬名も帰してくれるってことか?」

 

「構いませんよ。二人で協力してドラマを終わらせた訳ですし、あなたがたからは十分な収穫を得られました」

 

「収穫……?なんだそれ……いったいどういう罠だ?何か裏があるのか?」

 

「どういうことでしょうねえ?一応確認いたしますが……瀬名さん、あなたは帰る意思はありますか?」

 

「もちろん、帰りたいです。もうドラマはしたくないし。でも……」

 

「でも?」

 

「他のみんなと一緒に帰れないのは……」

 

「んなの気にする必要ないって。そのうち俺らも帰ることになるんだから、先に帰っとけばいーだろ」

 

「そう思います。せっかくの機会を逃さないでください」

 

「帰ったら向こうで会おう。疑ったお詫びはその時まで持ち越しで頼むよ」

 

「お姉ちゃんがいなくなっちゃうのは悲しいけど……色々教えてもらえて面白かったよ。ありがとう」

 

「料理の出来る二人がいなくなるのか。前途多難なきがするな……向こうで会ったらまた愚痴聞いてくれよ」

 

「で、でも……っ!」

 

「いいから先に帰ってろよ。もう勝負はついたんだから」

 

「そうそう。もし仮にケイちゃんが先に帰ってキミが残ったとして。恋愛ドラマでもすることになったらどーするの?」

 

「どーするのって……」

 

 

お前ら・・・・(涙)

 

 

「僕とのキスシーンとかだったらどうするの!?無理矢理キスされちゃうかもしれないよ、演技を拒否する暇もなく!」

 

「そうしたら元の世界に戻った時にケイちゃんに殺される未来が見えるね!!」

 

「お前が演技拒否すればいーだろ」

 

「えっ、ヤダ。可愛い子とキスするチャンスをなんでみすみす逃さなきゃいけないの?」

 

「はぁ。早くDEAD ENDしてくれ」

 

「ああ〜。ケイちゃんの毒舌もしばらく聞けないと思うと寂しいな……」

 

「……凝部は後で代わりに殴っとくから、気にせず二人で帰れよ。本当に」

 

 

お前ら最高にいいヤツだな。

 

 

「…………」

 

「じゃないと凝部の言うとおり、何があるか分からないしな。だろ?萬城?」

 

「何がですか……俺はあいつの意思を無視したりしません。納得はしてませんけど」

 

「顔色が悪いな。やっぱり早く帰っとけ、獲端、瀬名」

 

「ーー帰るなら」

 

複雑な表情で、獲端くんは私を見下ろす。そして取り戻した左手で、私の手を取った。

 

「お前と一緒がいい。我が儘なのは分かってる」

 

「それでも俺は……お前を選んだんだ。恋なんか知るつもりもなかったのに。女なんか大っ嫌いだと思ったのに」

 

「お前に触れたいし、笑顔が見たい。ここにお前を残して帰ることなんて絶対に出来ない」

 

「お前が好きだ。……他の誰にも、触らせたくない」

 

〜だからそういうのは二人っきりの時にやってください〜

 

「……〜〜っ!!」

 

「…………っおい!人が恥ずかしいのを我慢して言ってんだから、ちゃんと聞け」

 

「きっ、聞いてるよ!?なんて答えたらいいか分からなくて……」

 

「分かんないのか?」

 

「…………一緒に、帰るよ。獲端くんのことが好きだから」

 

「それはもう聞いた」

 

「い、一応言い直してるんでしょ!?ほんとにそういうところが……!」

 

「うっせーな。普通の顔で聞けるかよ。……ディレクター!」

 

「はい。結論は出ましたか?」

 

「二人で帰る。お前の言ったとおりにってのは癪だが」

 

「それは良かった。恋人同士を引き離すのは私としても心苦しいですからね」

 

「それでは今回は、私の勝ちということで」

 

 

俺の勝ちだよ。

 

 

「勝ち……?」

 

「もうあなたには関係のない話です。それではお二人とも、御機嫌よう。またいつかお会いしましょう!」

 

ん?なんか誰かと賭けてんのか?

 

 

帰ったらお父さんたちにも謝ろうね編

 

「お前がいると、ヘンな気持ちになるから。そのくらいじゃないと謝れねぇ」

 

「ヘン??」

 

「……なんか、若干、素直になる」

 

 

だから照れ顔やめろ!!!

 

 

「……ふふ」

 

「笑うな気持ち悪い」

 

「な、なんで!?笑顔が見たいとか言ってたじゃない!」

 

「今のタイミングじゃない。もっと別の時にしろ」

 

「もぉぉおお……!別って言われても分かんないし」

 

「だから……キスした時とか、好きっつった時とか。お前驚いてばかりだし」

 

 

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ありがとうございました!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お気に入りスチル紹介

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選ぶ余地ある??????????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

獲端√、予想通りに楽しかった。多分今の所どの√より恋愛してる

物申す点があるとすれば、最後のDのやたら物わかりのいい選択がやや「もう面倒だからいいや無理矢理ハッピーエンドにしちゃえ!」感があって、もうちょっとラストまでハラハラ出来たらよかったな〜〜という所と、結局この√って、極端に言えば「獲端の超個人的なトラウマを克服するだけの話」なわけじゃん??

たかがドラマなんだし、相手は立体投影でほんとにするわけじゃないんだから、キスするふりくらいできるだろ・・とかはやっぱ思ったし、何よりそのトラウマが、義理母?女の人にキスされたって言ってるけどそれって「ケイトくん可愛いでちゅね〜〜‪♥‬」のキスなのか、それとも「ガチでそういうことしようと思って親父の目を盗んでしてきた」キスなのか、そこがぼやっとしちゃってたから残念ではあった。後者であって欲しい。

 

とりあえず、胸キュン要素は十二分にあったし、共通時点のウザさも全て優しさの裏返しだとわかった瞬間のズルさ。勘弁してくれσ(^_^;)

何はともあれ、今回もめちゃくちゃ楽しめたので、次の√も期待。

 

 

最後までお目通しいただき、ありがとうございました。

次の感想ブログでお会いしましょ〜〜〜🎶

それではまた。あたしでした‪ฅ^..̫ .^ฅ‬